その後を生きる、矢川冬の場合

実父からの性虐待サバイバー。「もう、沈黙はしない‥性虐待トラウマを超えて」出版。社会福祉士。家父長制絶対ダメ。HSPシニア独り暮らし。性虐待を事由に明記し戸籍名変更。女性無料シェアハウス運営。趣味はどけち節約と終活と防災サバイバル

実名、顔出しは加害者であって被害者ではない。実名、顔出しは被害当事者本人が決めること。

昨今、家族内に加害者を持つ性被害当事者が相次いで実名で本を出版している。メディアに顔をさらして話しているサバイバーを見かける機会も多くなった。なんと開かれた素晴らしい社会になったものだろうと一瞬は思ったが、いつもの疑い深さが出てくる。いろいろの事情と考えがあって顔を出しているのでしょう。少し考えてみましょう。

  

独りぼっちで船出をした人、多くの支援者に支えられている人、マスコミ側から声がかかった人、そして実名顔出しを強力に推奨しているだれかの思惑に乗った人。「被害者は悪くないのだから顔を隠す必要はない」とごもっとも、正論を被害当事者の優しい心に語りかけ洗脳しているのかもしれません。

 

 山本潤さんは都会で母ひとり娘ひとりという環境だったので、自分の判断で実父が加害者なのに実名を公表できたのではないでしょうか。快挙でした!山本さんに続く人が出てくれたらと願いますが、自分はできません。東小雪さんの実家は金沢で有名だったようですが、地元でうわさになる地獄を自ら引き受けることは大変なことでしょう。東さんの清い怒りを尊敬します。加害者が家族内の場合の被害当事者にとって、実名顔出しはよほどの意志をもち、加害家族にも決意させあるいは決裂し、周囲の視線を毎日跳ね返すエネルギーが必要です。

 

 

でもちょっと待ってください。

被害者は悪くないのだから顔も名前も隠す必要はもちろんありません。しかし、加害者が家族内の場合はなかなか難しいものがあります。加害者が家族外と家族内では違います。加害者が血縁家族にいると、利害関係が親せきの取引先や関わっている政治団体とも絡んでしまう人がいるからです。広範囲に影響が出る場合、被害者個人としての自尊心をとりもどす行為が、まったく関係のない人の権利を奪うことがあるのです。被害者が顔を出し実名を明かすことで、加害もしていない何も知らない遠い関係者が政敵に利用される環境の人も中にはいます。そうするとまわり回って、明かしたあなたは何人もの人を不幸に引きずり込む人になってしまいます。私もその環境にいる被害者のひとりです。もうこれ以上不幸な人は出したくありません。不幸の連鎖は私で終わらせたい。
   

血縁家族、親族が多い場合、取引先や政治団体にすべてを知られることは、悪用される可能性も出てきます。ことはそんなに簡単ではありませんし、世の中複雑に絡み合っています。私はそこにあてはまり悪用されかねないので顔は出しません。実名も出しません。そもそも、戸籍名は裁判で棄てていますが、大事な私だけの新しい名前を汚す気はありません。

 

私と同じような環境の被害者がいたら、どうぞ無理をしないでペンネームで告発してください。沈黙しているよりはるかに世の中を変える力になるでしょう。実名顔出しするのは加害者であって、被害者ではないのです。 

  

もし、

顔や実名を出すことがあなたの復讐になっているのなら、私は賛成します。なぜなら、あなたが復讐したいと思っていることはあなた自身のためだからです。誰かのためでなく自分自身のために顔を出したいのなら、正しい選択だと思います。

 

それでも、 

あなたがあなた自身をさらに犠牲にする必要はありません。あなたは自分が安全な場所にいなくてはならない存在だと認識してください。あなたが安全を確保しているからこそ、ほかのサバイバーのお手本と指南役になれるのですよ。絶対に大丈夫な環境が整ったら、実名、顔出し大賛成です。賢くなりましょう。

 

けれども、

発端はどうあれ、私たち当事者は実名を出し顔を出した当事者をしっかり支持していかなければなりません。私たち当事者同士は、なんの利害関係もないからこそ全身全霊をかけて当事者を守らなければならないと思っています。

 

 ※最後にお知らせです。本の発売日が6月中旬にずれ込みました。待っていてくれる方には本当に申し訳ありません。発売日が決まり次第このブログで告知しますので、よろしくお願いします。(m´・ω・`)m もちろんペンネーム矢川冬で出させていただきます。

原因は私のITリテラシーがあまりにも低いことに尽きます。できるだけ専門家に頼らずハンドメイドしているせいで分からないことだらけ。時間がかかり放題なのです。でもおかげでパソコン知識がたっぷり増えていますから、出版で誰かを手伝える日も近い。。。と思っていただければありがたいです。