その家族はシングルマザーと生まれたばかりの2人の子ども、いや子どもはもう1人いたかもしれません。
私が留守の間に、入居を決めてすでに1週間たっていたらしいのです。ですから、私は会っていませんでした。
ここで、種明かしーーーその家族は雨どいを伝って、建物の増築部分のつなぎ目に開いた穴から、空間を見つけて住み着いたアライグマの親子でした。
多分、前回から私が憤慨している猫のエサ撒きオヤジの撒いたエサを食べに来ていたのでしょう。とんだ迷惑なオヤジです。
アライグマは糞尿を同じ場所でするので、天井裏に糞だまりができるそうです。壁のすみから茶色いものが何筋もたれてきていました。しかもアライグマの糞にはかなりの確率で回虫がいて、その卵が人間の体内に入ると人間は死ぬことがあるそうです。
これには、困りました。シェルターの準備とは別にいろんな問題が猫のエサ撒きオヤジのせいで次々と起こり対応に追われています。くたくたです。
でもこれも試練と受け止め、必ずや解決するつもりです。逆境がきつければきついほど、私の負けず嫌いの精神が発揮されます。性虐待を受けるまでは弱弱しく泣いてばかりいる女の子だったのですが、少しずつ、少しずつ私の性格は闘う戦士の根性を獲得していきました。負けず嫌いの性質が本来あったのかもしれません。だから、こんなにもしぶとく生き残っている。きっとそうです。
さて、アライグマに戻ります。
2つある外壁のよく使っているほうを金網と木の板でふさぎました。夜中になると親は金網に突進し破ろうとします。開いている穴は使おうとしません。これら動きを観察するために徹夜をする必要があったのです。その夜は親はとうとう外へ出なくてエサを食べないで過ごしました。
業者と市役所に聞くと、その状態では親は警戒して子どもをくわえて出ていくか、はたまた、もう外へは行かず親子とも中で餓死することになるとのこと。慌てました。
( ;∀;)
中で餓死されるのが一番大変です。万が一家の中に害獣の死骸があったら、家の外へ出して清掃センターに電話をすればとりに来てくれるそうです。かわいそうですが、ペットと違い、害獣とされている動物は「燃えるごみ」として燃やされるそうなのです。人間も火葬されるのですから、そんな違いはないかとも思いますが、「ごみ」扱いされる害獣のことを考えると心痛みますね。
数日後、シェルターに行くと、なんと塞いだ金網が内側からめくり上げられ木の板が吹っ飛んでいるではありませんか。ビス30本で留めたのにあっさり突破されていました。すごい力です。体長60センチくらいのスリムなアライグマさんでしたが恐ろしいです。
家の中へ戻りできるだけ生きて外へ逃げていてほしいと思いながら、棒で天井をつつくとなんの気配もありません。おや~、出て行ってくれたのか、それとも死んでいるのか?どっちどっち??
(;O;)
そこでまた数日後、所有者Jの勤務している施設出身者の大工さんに頼んで糞尿が一番少なそうな場所を選んで、天井に観察穴をあけてもらい恐る恐る中を覗き込みました。うわーっ!黄色い断熱材がボロボロと落ちてきました。断熱材が糞尿を吸っていたから垂れてきた液体がそれでも少なかったと分かりました。とても異臭がします。
でも、アライグマ親子はいませんでした。よかったあ~!
その日は観察口から近い断熱材をゴミ袋2つ分引っ張り出して終了。天井の奥まで詰まっている糞尿まみれの大量の断熱材をまず全部引っ張り出さないと、天井を壊せません。前途多難です。
ちなみに、害獣駆除の会社の相場は1万~30万と開きがあります。よくよく相見積もりを取って、話をよく聞いてくれる業者で比較的安いところを根気よく探すのがよいですよ。私は10社くらい打診してみたものの、どこも20万円の提示をされて、結局自分たち3人でやりました。今回は、私が金網と板を買ってきて知り合いに手伝ってもらい穴を一つ塞ぎました。お礼を含めて5000円で済みました。今後天井の張替えがあるので、そちらの金額もきっとお友達価格でやってもらえると期待しています。
教訓
害獣を発見したら、慌てず動きをよく観察し、よく使う穴をふさぐ。逃げていけるように出入口はひとつ必ず残す。子どもが成長し自分で外へ行ける時期まで待ってバルサンなどをたいて親子とも穴から追い出す。穴の中の糞尿を吸い出し消毒し、穴の入り口を全部塞ぐ。
気になる場合は天井の全とっかえをする。 以上です。