「もう、沈黙はしない‥性虐待トラウマを超えて」の出版を前にして私のサバイバーとしてのサバイバル生活に色濃くかかわりのあった2冊を、先行して紹介したいと思います。
その1
アンソロジー集「沈黙をやぶって」(森田ゆり編、1992年築地書館)
この本に私は「夜明けの沈黙」という手記を寄せました。森田さんには、大変重要な作品なので子どもの虐待防止センター開設のシンポジウムでの精神科医の暴言を詳しく書いてほしいということと、父親からわび状を取ったシーンをもっと克明に書き込んで欲しいとの要望をいただきました。
しかし、私はその思いにこたえる心の余裕とエネルギーがありませんでした。家族からの興信所を使ったと思われるストーカーに悩まされ、複雑性PTSDから沸きおこるフラッシュバックの波にのまれながら、自営業を続け手記も書いていました。もう無理でした。取り下げるしかありませんでした。虐待当時の1回目の沈黙、原稿を取り下げたときの2回目の沈黙。2回も沈黙した自分が情けなく悔しいけれど、生き延びるために必要な沈黙でした。私は沈黙したからと言って諦めたわけではありませんでした。決着を先に延期しただけです。私は私の命が尽きるまでに、落とし前は必ずつけるつもりでいます。今度出す本が落とし前になるのか、それともまだ足りないのか、今は分かりません。
その2
「解き放たれる魂」(穂積純、1999年高文研)
この穂積さんの2作目で、穂積さんが戸籍名を変更していることを知りました。当時通称名で生きていた私に戸籍名変更の考えを示唆して決心させてくれた本です。
性的虐待を事由にして戸籍名を変更できたのは、穂積さんの鑑定書と審判書を郵送で貸してもらい、小西聖子(たかこ)医師に読んでもらえたことが大きいのです。裁判所なら本人の許可なくすぐに読める審判書は、一般の人間は本人の許可が必要でした。「甦える魂」の英語版を出版するために翌朝アメリカに出発するという前の夜8時に、私の手紙が高文研経由で穂積さんの手元に届き、穂積さんはすぐに弁護士に依頼してくれて、そのまま翌朝アメリカに飛び立ったそうです。危機一髪、運命の歯車が回り始めているのを感じました。だからこそ、私は私の本の中に「心理状態鑑定書」と「審判書」をほぼ原形を保った形で載せています。誰でも読めるように、利用できるように、戸籍名を変えたい被害者に少しでも役に立てるように。
その3
「甦える魂」(穂積純、1994高文研)
なんというミスをしでかしてしまったことか!本の中で「甦る」だったり「蘇る」だったり変換ミスをしてしまっていたことに販売開始してから気づき急遽修正をアマゾンに依頼しました。
→ このミスの修正については6月28日には訂正されていたようですが、私に確認する手段がなかったのでとても心配しました。
経過をお知らせするためにあえて記事を残します。