その後を生きる、矢川冬の場合

実父からの性虐待サバイバー。「もう、沈黙はしない‥性虐待トラウマを超えて」出版。社会福祉士。家父長制絶対ダメ。HSPシニア独り暮らし。性虐待を事由に明記し戸籍名変更。女性無料シェアハウス運営。趣味はどけち節約と終活と防災サバイバル

祝! 戸籍名変更できました! 日本で3例目と4例目の人たちのこと。

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家族から性虐待を受けるという信じられない被害。その被害者の私の願いは戸籍名変更でした。

加害者の扶養に入っている子どもという身分の私は、その家に生まれ落ち、尊敬も敬愛もできない親に食べさせてもらっている生活がとても苦しかった。加害者が社会的に世間体を保つために、私は家庭の奥深くで沈黙を強いられてきました。

 

性暴力の害は心と感情と脳にダメージを与え、他人に見えない深奥にある自尊心を侵食します。メスで切って見せることもできません。 

自傷して自分で自分の血を眺め、痛みを確認し、自分を罰します。親を罰することが禁止されていたから、自分を罰するのです。

 

 

民事事件時効の20年が来た30歳の時は、膝をかかえたままやり過ごしました。

悔しさだけが体中を駆け巡る。

 

私に残された手段は、戸籍名を変えて加害者との関りを断つことしかありませんでした。

 

親と縁を切るということは、故郷を捨てることです。すべての血縁と小中高時代の友人と思い出を捨てることでした。根なし草になった私には保証人もいない。加害者と絶縁することは最良だと頭では理解しても、心は不安で泣いた。

自分の新しい家族を持つことは考えられなかったから、自分一人で稼いで食っていく人生しか選べなかった。

病気になって働けなくなったら、どこにも頼れない私は、そこで終わるのです。とにかく病気にだけはならないように過敏なほど予防をしていました。決して命が惜しいわけではない、できるなら早く死にたい。ただただ、この被害にけりをつけないうちは死ぬわけにはいかなかったから生き抜いただけ。

女性が働くことは同時に女性差別と闘う日々でもありました。

 

 

よく生き延びた。私は今自分を褒めてやります。理解できない誰かがなんと言おうとも。

 

 

 

 

戸籍名変更の1人目。1997年に穂積純さんが日本で最初でした

 穂積さんは大阪で弁護士数人を雇って4年かけて兄からの性虐待を事由にして戸籍名を変更しました。私は穂積さんの審判書をお借りして、自分の審判に臨みました。弁護士経由で郵送で審判書を届けてくれた穂積さんは一生の恩人です。

 

 

 

戸籍名変更の2人目。2001年に矢川冬が日本で2例目でした

もう、沈黙はしない・・性虐待トラウマを超えて

もう、沈黙はしない・・性虐待トラウマを超えて

  • 作者:矢川 冬
  • 発売日: 2018/06/25
  • メディア: オンデマンド (ペーパーバック)
 

全部で10章ある中の、以下の章が戸籍名変更について書いたものです。事務手続きや2年間の裁判所での細かな折衝の記録も載っています。

第3章 改氏名について

第4章 改氏名裁判の経過

第5章 心理鑑定カウンセリング

第6章 審判書

 

 

 

戸籍名変更の3人目。2020年、とうとう3例目の方が出ました! 

仮にAさんとします。

Aさんから相談を受けたのは11月。Aさんは3月に退職するときには新しい名前にしなければならないと、とても急いでいました。

私は起きたことはできる限り詳細に事細かに書くようにアドバイスしました。AさんはA4用紙6枚の身上書を書き上げ申立書3枚に添付し、12月に裁判所に提出しました。

 

なんと、最短の1か月で審判が降りました!

1月に、とても簡単な審判書が郵送されてきました。穂積さんや私の審判書は長くて、生い立ちからすべて書いていましたが、Aさんの審判書は「申し立てを相当と認め、戸籍名変更を許可する」というびっくりするほど短いものでした。主文すらありません。私は嬉しい反面不安になり、Aさんに裁判所に問い合わせるようお願いしたところ、やはり本物の審判書であり、2月にAさんは役所で無事に戸籍名変更手続きができました!

 

穂積さんは4年、私は2年かかった戸籍名変更の審判です。

なぜこんなに早かったのか、次に続く人たちの指針にするために、Aさんと一緒に理由を分析して検証していますが、長くなりそうなので分析・検証は次回のブログで詳しく書きたいと思います。

 

 

今回のブログではAさんが受けた虐待の一部のみ記します。 

 

Aさんは現在20代で、資格を持った仕事をして自立した一人暮らしをしています。

加害者は実兄と実父で、実兄はいまだに実家暮らしの大学生とのこと。父親と母親は、兄の妹に対する性犯罪について無関心で、それどころか母親もAさんに対して暴力的だった。

Aさんは申立書に加えて、兄や父からの性暴力をA4で4枚、母親からの虐待を2枚手記にして裁判所に提出した。内容は、私でも震えるくらい悲惨なものだった。

(このブログでは詳細を明らかにすることはしません。Aさんは、同じような被害者の助けになるなら、自分が信頼できる人なら、上申書は個人的に読んでもらってもかまわないと考えています。)

 

独立しても、母親はAさんの職場に電話をかけてAさんの動向を探り、その行為は職場のAさんの立場を悪いものにした。Aさんも父親の職場に電話をかけて訴えるが拒絶的な対応だった。両親に理解されないショックからAさんは自殺未遂を起こし、それを知った母親から警察に通報が入りAさんは警察に保護されたことがあった。

 

Aさんは、家族と距離を置くため戸籍名を変え、職場を退職し、新たな資格に挑戦している。家族に乗り込まれたこともある現住居から引っ越しを考えている。

 

 

私の本に登場した青弥さんが、2019年7月に名前の方を変えていました

永年使用で5年たつと下の名前はわりと簡単に変えられます。それが、2年8か月の使用で変更審判が出ました。諦めずに何度も申し立てていた努力の結果ですね。でも、青弥さんは性虐待が事由ではないからと、苗字を変えるまで頑張ると言っています。なので、自分は4例目予備軍だと申告なさいました。(笑)

 

近況報告

 私は自宅マンションをいよいよ売却し、いったんシェルターに移ります。そのために忙しくしています。つい最近、シェルターの隣の家が空き家になったので使わせてもらえるか持ち主と折衝中です。

 

 

 

                  。。。次回のブログでは、戸籍名を変えたい被害当事者の為に、上記の2人が戸籍名を短期間で変更できた理由を考察したいと思います。(2537文字、ちょっとオーバー)

 

 

 

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